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ロールズの正義論-『正義論』段階-


・ロールズ以前の状況として一般に言われていること
価値自由(価値相対主義)


・『正義論』の構成
第一部 原初状態で採用される戦略と正義の二原理を選ぶ理由(社会契約論)
第二部 現実の社会制度と実践を巡る一連の問題に対する自分の正義論の適用について
第三部 正義の概念の実行可能性

・特徴的方法と内容
望ましきこと 
実行可能なこと 
両方を顧慮する

熟慮された正義判断のよる導出 と
反照的均衡による検証

正義の二原理に適った安定的な社会・政治制度を社会契約論という装置を用いて導き出す。

・社会契約論
ホッブス、ロック、ルソーのような古典的契約論の衰退

ロールズの問い
原初状態(自己の利益に関する判断を遮る無知のヴェール)
の下で何を選ぶであろうか。

正義の観点から見てもっとも望ましいものを選ぶ 
「公正としての正義」


選択主体 正義感覚 相互無関心 物資の欠乏

選択対象 社会の基本的構造をえらぶ

選択にあたって有している知識 才能と努力の結果、確率については知らない

動機付け 基本善への願望

マクシミン戦略を用いる

マクシミン戦略:想定しうる最悪の結果に着目して選択肢の順位付けをおこなう戦略

マクシミン戦略以外の代替的選択肢 

マクシマックス 最良の効果
期待効用最大化 合理的的ギャンブラー

ロールズの用いる「契約」の特色(他のとりわけ古典的契約理論と比較して)
評価的 か 正統性付与的(ルソー、ロックなど古典的契約論)



ロールズの正義論
第一部 
原初状態で採用される戦略と正義の二原理を選ぶ理由
第二部 
現実の社会制度と実践を巡る一連の問題に対する自分の正義論の適用について
第三部
正義の概念の実行可能性

第一部
◆我々は正義に関していかなる原理群を選ぶであろうか。

「公正としての正義」という原理を選ぶ。
◇検討対象とされている他の選択肢群
功利主義等の古典的目的論的概念、
混合的正義概念構成
直観主義的概念構成
エゴイスティックな正義の概念構成

 これらの原理群よりも「公正としての正義」がすぐれている
批判 他の重要な正義原理が無視されている。
◆「公正としての正義」をなぜ選択するのか。
社会的正義の問題に関するマクシミン解である。不確実性の下での選択でマクシミン戦略を取った場合には、正義の二原理が選択されるであろう。批判 マクシミン戦略は合理的ではない。

◇正義の2原理の内容
第一原理 各人は、全ての人に対する同様な自由のシステムと両立するもっとも広範で全体的な平等の基本的な自由のシステムに対する平等な権利を有する。
第二原理 種々の社会的・経済的不平等は、以下の両方を充たすように設定されなければならない。
(a)正義に適った貯蓄の原理と矛盾しない限度で、もっとも恵まれない者たちが最大の利益を受けるように、そして
(b)公正な機会の平等を充たす条件の下で全ての人たちに開かれている職務と地位に伴うかたちで。

「辞書的順序(lexiccal order) 」 優先性の高い順序に並んでいる
二つの優先ルールの存在
自由の制約は自由のためにのみ許容する
効率や福祉より正義が優先する

第二部
公正としての正義原理(正義の二原理)を満足するような基本構造(立憲的民主主義)が選び出される過程を叙述

第一段階 二原理を選択
第二段階 憲法会議 基本権、自由
第三段階 立法 法と経済、社会政策福祉主義的経済と社会政策
第四段階 官吏によるルールの適用

第三部

ロールズ理論の安定性
ロールズは自分の言う正しい社会は同時に善き社会であるであることを証明しようとする。
義務論的道徳理論であり目的論的道徳理論を批判
正義感覚から安定的に導き出される社会

基本善