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法的思考


・法的三段論法の意義と射程
意義
@ A→B(大前提)
A CはAに含まれる
B Cという事実があれば、Bである

     A=要件事実、B=法的効果、C=生の事実(認定された事実)

 人の身体を傷害した者は10年以下の刑に処する。

 YはXをナイフで斬りつけて全治3週間の傷を負わせた。Yの行為は傷害の実行行為に該当する。
 YはXに何十回も厭がらせ電話をかけてXをノイローゼにした。Yの行為は傷害に実行行為に該当する。

 Yは10年の刑に処せられる。
射程
裁判官は、事実の認定と法解釈(A)をおこなう。
実際 事実認定←→法的評価(解釈) フィードバック
判決文には、法規と事実の演繹的操作により結論がでたという表現

法的三段論法は、「裁判官の思考過程そのものを表す(概念法学的)」と理解されるべきではなく、判決等の正当化の論理として理解されるべきである。
@については要件効果図式(ルール)について、よりあてはまる正当化方法である。


・ 法の解釈の性質と概念法学

認識  創造(価値判断)
法解釈は、あらかじめ存在する法の認識であり、それにつきる。
法解釈は、解釈者の主観的価値判断によっておこなう。
この二つの考え方が両極端に対立してきたが、どちらも適切ではないだろう。
では、どうするのか!
認識の基準
立法者意思説 立法者の意思を探り、それに基づいて判断していく。しかし、立法者の意思とはそもそも何か、時代が変化したときにどうするのかという問題がある。
法律意思説:その当時の法律の解釈としてもっとも客観的に適切な解釈を導き、それを法律の趣旨とする考え方。客観的な解釈とは何かという問題がある。

解釈の種類としていわれている類型
文理解釈 法規の意味を文言上の法律上または日常の意味にしたがって確定する。
論理解釈 法規の体系的連関を考慮する解釈
歴史的解釈 立法資料を参照しながら、法規の制定時の意味を解明する解釈
目的論的解釈 解釈をある目的を達成するための手段と考える。目的手段関係については、経験科学的解明が可能だが、目的そのものは、立法者の意図から、法律から、あるいは、社会の実状から引き出される。

概念法学について 言葉を覚えよう
由来 19世紀ドイツの学説の手によるローマ法の体系化
解釈を認識として取り上げる。
一般的な概念を基礎として派生する概念が分岐して、ある領域における概念の体系をつくる(民法パンデクテン)。
概念の体系によりすべての法律問題が解決できる。

自由法論からの批判
解釈者の意思、主観的な価値判断こそが法解釈を導いている。解釈者の責任を強調。後期イェーリング、エールリッヒなど。
解釈者の恣意性に陥るのではないかという反批判
自由法論からの反論
 エールリッヒは、社会学的方法によって認識をおこなうという方法で反論する。

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